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Vol.13 (CM天気図)ささやかなアンチ広告

2013年10月26日

いつの頃からか、スーパーで売っている野菜なんかに、作った人の
名前と顔写真がついているのが出るようになった。

いいねえ、あれも。「がんこそうなおやじだな」とか「愛敬のある
おばちゃんだな」なんて勝手なことを思いながら、ニンジンや白菜や
らを食べている。

作った人の写真まではなくてもいいと思うが、食べるものについて
は、やっぱり地産地消がいい。ぼく個人としては、できればバナナ以
外は外国のお世話になりたくない。

が、世の中、そうはいかないらしく、地球を単一の市場にしてしま
おうとするグローバリズムの動きが進めば進むほど、わが家の食卓に
も外国でとれた食べ物がふえてきている。

ま、ある程度までそれはいいことだが、このままいくと、巨大な企
業と政治の圧力で、地球はどんどん文化のデコボコを失い、のっぺら
ぼうの星になってしまう。

たとえば、地球上の人たちが、みんなユニクロを着て、みんなマク
ドナルドのビッグマックを食べながら、みんなトヨタのクルマに乗っ
て走っている絵を、頭の中に描いてみるだけで気持ちが悪い。

一方で、エネルギーの大量消費で大気汚染や異常気象などの環境悪
化がどんどん進み、そこにつけこんで「クリーンなエネルギーです」
と、この国が輸出に熱心な原発が地球上にあふれるようになったら、
そんな地球にあたしゃ住みたくないと言う人が、けっこう出てくるん
じゃないだろうか。

スーパーの野菜に顔写真入りで作った人の名前を入れるのは、生産
者と消費者の親近感を生み出そうとするCMの一種だが、それは同時
に、アンチグローバリズムのささやかなCMだったりして。

(天野祐吉:コラムニスト)
朝日新聞デジタル 2013.10.16 より

印刷用Vol.13

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